ヒノのブログ 〜道すがら〜

Twitterでは書き切れないことを書いていきます。

バンドで作曲する人は作曲者と言えるのか?

掲題の通りなんですが、まず、僕が今住んでいる家に引っ越しをして、もう2年が経とうとしています。

正社員をやめて、ライブや作曲に打ち込んで行くと同時に、音楽業界で働く方々と知り合う事ができた。

その結果、自分のオリジナルを評価して頂ける作曲家の方(以下 先生)に出会った。

今でこそDTMをやってボカロやバンドサウンドで曲を作ってはYouTubeにアップをしておりますが、先生から教わることというのは編曲=アレンジというジャンルに踏み込んだアドバイスが多いです。

自分の知らなかった知識や技術が集約された先生のお言葉には、現在でも自分の理解が追いつかないほどに深く、驚きの連続でした。
なかなか実践をしようにも、うまく先生のアドバイスを反映させる事が出来ず、課題を頂く度に悶々としておりました。

しかし、こうやって先生から頂く課題を乗り越えようと試行錯誤をしているうちに、普段では触らないシンセ音源であったり、メタルやEDMといったジャンルに触れることもあった。

それはもうバンド内で作曲担当をする、いちメンバーとは異なる立場、つまり、作曲家というもう一人の自分を形成し始めていたのです。
まぁ、この時点で僕はバンドを辞めていて、完全に1人でやっていたのだが。

それでTwitterなんかを見ていると、まるで充実しているという風な明るさで音楽活動に勤しむ彼らたちのつぶやきを目にしますが、僕はそんな彼らを見て、
"バンド内で作曲を担当する人は、作曲者と言えるのか?"という疑問を持ち始めたのです。

たかがバンドサウンドだけで作曲をしたところで、すごいねと言われてしまう。
よく作れるね、なんて言われてしまう。

そんなにバンドの作曲担当って偉いのか?

ただ少しだけ得意になったつもりで、鼻を高くしているのか?

僕はそう思うようになりました。
その結果、僕はライブハウスで精一杯歌って周りから持ち上げられるバンドマンに冷めてきたし、自信家かなんだか知らないが、こちら側の声かけを無視して仲間内やらで打ち上げを楽しむ奴とか、フォローして、わざわざ挨拶まで送っているのに一言も返信がない我が物顔の奴が大嫌いになった。

しかしまぁ中には専門学校に行って、当たり前の知識を得ている方もいるだろう。
それは独学の僕からしたら敵わない相手なので、この意見を万人に当てはめるつもりはない。
少しだけ感情的に訴えてしまったが、

そうやって、僕が先生から頂く課題をクリアする事は、今までに触れたこともない知識や技術を使わないといけなかったし、それを蓄積するにはバンドサウンドだけでは足りないのだ。

そんな、好きなアーティストたちから影響されて作った彼らの曲というのは、"作風をコピーしただけに過ぎない"ものだと思うようになった。

今のバンドの作曲担当たちに、もちろん以前の僕も該当していた。
「すごいね」って、「よく作れるね」って周りから言われるのが気持ちよかった。

でも先生は違った。

僕の楽曲を一応は肯定して頂けるものの、アドバイスとしては至極有難いが、とても辛口な評価だったのだ。

先生は僕に、以下のように仰った。
「この楽曲において、これが自分の持ち味です、と言えるのは、どういうところかな?」と。

僕は即答出来なかった。
それはその楽曲が、作風をコピーしただけに過ぎない楽曲だったから。

それじゃぁ自分の持ち味なんて出せるわけないよね。

僕は悔しかった。
それでも先生から度々課題を頂くのだが、どれもクリアにはほど遠かった。

彼らが曲をアレンジすると言ったら、きっと最初に「ストリングスを入れる」とか訳の分からないことをドヤ顔で言って、知った風な態度を取るに違いないのだ。

結局バンド内で作曲を担当する人は、ただコード進行を軸にボーカルとベースとギターを乗っけて、すごいと言われているだけ。
曲に雰囲気や風景も明確に与えられず、"コード感"だけで世界観出しましたって言ってるだけ。

そんなもん誰にだって出来る。
そんなことばかりやってるからTwitterのバンドらはいつまでも下の方にいるんだ。
決して僕がすごいなんて言ってるんじゃない。
現に僕だって無名人だ。

しかしだ。
そんな誰でも出来ることだけで周りと張り合って、運良く掴んだお客さんの数だけで勝負しているような奴らとは、僕は金輪際ライブしたくないね。

「俺らの音楽、本気だから」
そんなの歌詞をそれっぽく書いてサウンドに勢いつけて、頑張ってる風な道化師になれば誰だってそういう風に見えるさ。

そんなバンドは見飽きた。

そもそも彼らがバンドを組む理由とは何だ?

なんで売れるためにオリジナルで作曲しなくちゃいけない?

なんでメジャーデビューじゃなきゃいけないんだ?
でかいハコでライブしたいからか?
お客さんがいっぱい欲しいからか?
音楽だけで飯を食いたいからか?
俺からしたらそんなのは夢じゃない。
単なる目標だろ。

他と違うことをやる=オリジナルだとするならば、
憧れのアーティストから影響されて作風をコピーしただけに過ぎない曲に、なんのオリジナル性があると言えるのか。

そんなんでかっこいいとか、すごいとか言われてる人らは、一般人の耳を"誤魔化しているだけ"。
確かにコピーする事は大事だ。
でもコピーというのは、技術や知識を身につけるものであって、作風を真似するためにあるんじゃない。

作曲とは、編曲とは、そうじゃないんだ。

でも答えは俺からは言わない。
俺が先生から高い壁を作っていただいているのと同じで、彼らも努力して、作曲や編曲とは何かという問いに答えを見出して欲しい。

俺だって、もがいても、もがいても、答えなんか見つからないんだから。
どんなにコピーしたってそう。
何回同じフレーズを歌ったってそう。
作曲が出来るなんて、簡単に言えるものじゃない。
それは、先生から学んだ一番大事なことだと思ってる。

俺の夢はもうメジャーデビューじゃない。
もっと深く、別の次元にある。

俺が作った曲だ、って。
これが俺にしか作れなかった曲なんだ、って言える瞬間が、きっと、ある。

ただ、バンドサウンドだけじゃなく、シンセを上手く扱えるからすごいとか、いろんなジャンルを多様に作れるからすごいとかは、微塵にも思っていない事だけは、わかって欲しい。