【アメリカ】、【PM_16:32】、【戦争】、【backpacker】
【アメリカ】
かつてのレイテ沖海戦で白旗の
写真家が残したその一瞬。
しばらく見とれていたのちに
やってきた一杯のコスタリカ。
窓から見える夏の空
店内に流れる、ジャズの一式。
僕はペスカトーレを食べながら
若いウェイトレスを目で追った。
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【PM_16:32】
東の海岸で拾った、小さな貝。
この時間は人も少ないし、波打ち際でも歩いてみる。
さざなみが遠い異国の風を連れてくるようで
「こういうの、なんかいいかも」なんて。
横顔を赤く染めながら
次第に眩しくなってきて
気づけば貝を落としてた
また来ようかな
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【戦争】
内地へ行くという通達に
慌てて彼女が見送りに。
駅じゃ人がごった返しているから
「喫茶店へ行こう」って言ったのは君じゃないか。
駅前のどよめきに陽射しを重ねた午後。
ついには君を残して、流れる景色に放心していた。
昨日はあんなに笑ってた僕も、隣に気づかれずに泣いた。
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【backpacker】
限りなく青い僕らの時代を
一冊の本に綴ったら
出かける準備を始めようぜ。
「お前は強くなれ」ってさ
誰の言葉だったっけ。
朝食はパンとコーヒーでいいよ。
風が止んでしまうだろうから。
それでさっきの話の続きでもして
大通りを歩いて行きたいもんだ。